最近、お母さんは、朝「いってくるね」と出かけて、夜「ただいま」と帰ってくるようになりました。
その前は、お母さんはずっと家にいてイヤでした。
その前の前は、昼間はいつもあたし一人だったのに、急にお母さんも昼間に家にいるようになって、
一日中、パソコンやテレビの音がしていて、ときどき大きな独り言がきこえて、
あたしは、家で居場所が分からなくなって、
そうしたら、庭にノラ猫さんが来て、ビックリして怖くて、
それで、ちょっと頭がおかしくなって、
「家にいるのはきっと、お母さんじゃない。悪者だ!」って思って、
その人に唸ってとび掛ったり、引っ掻いたり、噛み付いたりしました。
あたしがたくさん爪を立てたので、お母さんの足や腕は、傷だらけで血だらけになって「いたい、いたい」といってました。
それで、お母さんは猫タワーを買ってくれて、出窓にお気に入りのさぶとんも置いてくれて、ノラ猫さんが庭に入ってこないようにしてくれました。
ざぶとんで寝ていると、「いい子ね」となでてくれるので、その人がお母さんだとわかるようになりました。
お母さんの足と腕は、あたしが何回も引っ掻いたので、傷あとがたくさんあります。
「もう肌のたいしゃがわるいから、きっと消えない」って言ってます。
あたしもだいぶ良くになったので、たいしゃにも良くなってほしいです。
お母さんの生活が、前の前みたいになったので、あたしも前の前のときみたいに、
朝、お母さんがでかけるときは、ふとんにもぐって寝ています。
夜は玄関でお迎えして、ごはんをもらって、一緒にベッドで眠ります。
夜、ベッドでお母さんの腕に頭をのせてゴロゴロいうと、
「世界で一番かわいいニャンコ」といって、撫でてくれるので、
あたしもお母さんの顔を手の肉球で撫でます。
そうすると、お母さんも、また、あたしを撫でてくれます。
お母さんは夜、帰ってくると、ビールをのみます。
たくさんのんで撫でられると臭いので、あんまりのまないでください。
でも、お母さんが前の前みたいになったのは、うれしいです。
前の前にもどっても、今もたまに、何か不安になることがあります。
今日も外で何か音がして、またノラさんが来たと思ったら驚いてしまって、
シャーっと叫んで足にとび掛ってしまいました。
でも、最近のお母さんは、家の中でゴム長靴をはいているので、
あたしの爪は膝あたりにくい込んだだけで、ほかはゴム長靴のおかげで無事でした。
お母さんは大きな声も出さないで、あたしが落ち着くまでじっとしていてくれます。
けっこう深く爪立てちゃったので、また消えない傷がふえたかもしれません。
たいしゃさんには良くなってほしいです。
あたしは去年の12月に14歳になりました。
お母さんのぶんるいだと、もう70歳くらいだそうです。
なので、きっとお母さんより、子供のあたしのほうが先に逝きます。
ですが、いつもお母さんがいうように「長生きねこ」になれるように頑張ろうとおもいます。
5月の母の日は、暴力ネコで何にもできなかったので、ネコの母の日は7月にしました。
で、らいしゅうの日曜日は、もっといい子になろうとおもいます。