東京・上野国立博物館の平成館、
新型コロナ感染防止で延期になっていた特別展「きもの」が、事前予約制で、6月30日に開幕しました。
前期展示:6月30日(火)~7月26日(日)
後期展示:7月28日(火)~8月23日(日) です。
梅雨の曇り空の中、JR上野駅公園口を出て、久々の上野公園を歩く。
何度も訪れた博物館なのに、何故か変なドキドキ緊張感で行ってきました。
鎌倉時代から現在まで800年間の時空を、きものを見て歩く。
想像を超えた日本の美に圧倒されて、今の不安や迷いが些末に思えて救われるような展覧会です。
展実室は
「第一会場:16世紀~江戸期 女性・子供もの」
「第二会場:男の美学 火消装束など/近現代のきもの」の2構成。
予想以上の見ごたえがあり、とても説明しきれませんが、振り返りでご案内します。
- 第一会場:
- 16世紀の刺繍装飾は、ヨーロッパ中世のタペストリーに負けない凄さ
- 当時は着方が今とは違う、帯は細くデザインのメインは後ろ姿
- 洛中洛外図屛風は、今も昔も変わらない人々の姿
- 総鹿の子、金糸、刺繍を禁じられて、発展した友禅染、染の美
- 第2会場:
- 「男の美学」織田信長、秀吉、家康の陣羽織と火消半纏(ひけしばんてん)
- モダニズム・現代のきものモード
- 予約:事前予約制なので、Webから日時指定券を購入
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第一会場:
16世紀の刺繍装飾は、ヨーロッパ中世のタペストリーに負けない凄さ
会場1は16世紀・安土桃山時代のきものから始まります。
この刺繍装飾がとにかく凄い!
画像でお見せできないのが残念ですが、画像ではきっと現わせない凄さです。
蔓や葉っぱや花など植物をモチーフにした細やかな繰り返し模様、
デザインと構成の大胆さ、斬新さ、鮮やかさ、それらを絵のように描く緻密な刺繍。
本当にまるで絵画です。
ヨーロッパ・フランドル地方(オランダ/ベルギー)の中世タペストリーを思い出し、
「匹敵じゃなくて、越えるな、これ」
今から500年も前のきものとは思えないほどの技術と色彩と豪華さに、見ていくだけで熱が出そうなほど。
これほどのものが、現在まで残っていたことも感慨深い。
当時は着方が今とは違う、帯は細くデザインのメインは後ろ姿
高貴な女性の打掛は羽織って裾を長く引くものでした。
また、当時は帯幅が狭く、着物本体の布面の露出が広かったようです。
その背面と袖で作られた1枚の大きな画面をいっぱいに使い、縦横に描かれた艶やかな紋様と図柄。
肩から裾まで流れのある装飾とデザインは、まさに絵画です。
洋服や西洋のドレスと違い、日本のきものは直線裁ちなので、後ろはまるで広い画布。
当時の女性が裾を翻して、去っていく後ろ姿が目に浮かぶ。
豪華な後ろ姿は、日本のきものならではの美。
洛中洛外図屛風は、今も昔も変わらない人々の姿
洛中洛外図はいくつかありますが、この屏風も面白い。
飲み屋で酒を飲む人あり、店を出る酔っ払いを支える女の人がいて、
橋の上では行商がお喋りをしながら商売をしていて、
一つひとつ見ていくと、1人でもクスっと笑ってしまう。
これも是非、じっくり時間かけて見て欲しい、お勧めどころです。
総鹿の子、金糸、刺繍を禁じられて、発展した友禅染、染の美
豪商の女性の派手競いがエスカレートし、豪華装飾を禁したことで発展した染。
江戸時代のきものでは、装飾に染の美が加わり、更に唸るような美しさです。
また、豪華から「粋」へ移行していくモード感も実感できます。
「光琳ブランド」なんて見ると、いつの時代も流行りってあるんだなぁとしみじみ。
光琳も地味派手で凄い。
第2会場:
「男の美学」織田信長、秀吉、家康の陣羽織と火消半纏(ひけしばんてん)
ここは、本当に最大のみどころ、こんな衣装、滅多もう見られません。
戦国武将の陣羽織、細密な刺繡や更紗を用いた華麗な間着、
刺青のような模様を施した火消半纏(ひけしばんてん)に、当時の男気が伝わります。カッコよかったんだろうな・・・
象牙・螺鈿らでん・蒔絵で凝った煙管や印籠、根付といった小物も粋。
モダニズム・現代のきものモード
ここまで、もうフラフラ熱にうなされたように見てきましたが、
最後のセクションで、比較的なじみのあるきものの世界に戻ります。
そして、最後に一斉に並べられた久保田一竹の連作
「辻が花」
最後の最後に、「一竹が辻が花」はやられました。連作の印象に声でない。
悠久の色のグラデーションを見せられたら目頭ジーン、打ちのめされて終了。
(最近、よく泣くなぁ、私)
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画像でご紹介できないので、せめてリンク貼っておきます。
写真は実物にはかないませんが、展示作品のいくつかはご覧いただけます。
みんな見に来てね!と、元気に言えないのが残念ですが、
せめて関東首都圏の方、会期が長いので、見にいらしてほしい。
きものが好きとか、嫌いとか、関係ないです。
日本のデザイン美、装飾、日本の粋と遊び心、勇壮さの展覧会です。
きものは民族衣装にもかかわらず、今でも日本人なら必ず一度は袖を通す着衣。
今に近い形になった500年前から現在まで、受け継がれて絶えない文化だと、
誇らしく思えた展覧会でした。
そして見終わって思ったのは、やはり海外の方に見て欲しいということ。(悲)
本当に、海外の方や、遠方の方に、見ていただけないのが残念でなりません。
一日でも早く、穏やかな日々を取り戻せることを祈るばかりです。
8月23日の閉幕までに、どうか、どうか、少しでもと願っています。
前期展示:6月30日(火)~7月26日(日)
後期展示:7月28日(火)~8月23日(日) 後期でまた、行きます!
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予約:事前予約制なので、Webから日時指定券を購入
来館前に「日時指定+観覧セット券」を購入するか「日時指定券」をご予約します。
私は、行けるか不安だったので、料金のかからない日時指定券のみ予約しました。
予約さえあれば、当日窓口でチケットを購入して入館できます。
オンライン予約が難しい方には、当日の日時指定券が各日若干枚のみあるそうです。
ただし、ご来館時に予定枚数が終了している可能性があるので、ご注意ください。
オンラインチケットはこちらから
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